
107カ国から1,300人超が参加、ワンヘルスの実践と行動を呼びかけ
2026年9月4日から7日まで、ポルトガル・リスボンで第9回World One Health Congress(WOHC 2026)が開催されました。ユネスコの後援のもと、世界107か国から1,300人を超える専門家が集まり、ワンヘルスの科学と政策に関する最新の知見を共有しました。
大会では、約600件の科学ポスター発表と80を超えるセッションが行われ、基調講演、パネルディスカッション、ワークショップなどを通じて、気候変動、生物多様性、薬剤耐性(AMR)、感染症、バイオセキュリティなど、世界が直面する健康課題について議論しました。
World One Health Congressは、人間・動物・環境の健康を一体として考える「ワンヘルス」をテーマにした、国際的な学術会議です。
【共同声明を発表、ワンヘルスの実践と具体的な行動を推進】
今回のコングレスでは、ワンヘルスを推進する世界の関係者が結集し、「WOHC 2026共同声明および行動喚起」を発表しました。
共同声明では、確固たる科学的エビデンスに基づくワンヘルス・アプローチが、人間、動物、植物、そして生態系の健康が深く結びつき、相互に依存していることを明らかにしていると強調しています。
地球温暖化が深刻化し、極端な気象現象の激化、生物多様性の喪失、薬剤耐性(AMR)の拡大、致命的な感染症の発生など、世界が複合的な健康課題に直面する中、こうした現実を理解し、ワンヘルスの視点に基づいて行動することが、これまで以上に緊急の課題となっていると指摘しました。
また、学術界、産業界、市民社会、政策分野など、幅広い関係者の共同の声を強化し、実効性のあるワンヘルスの実施に向けた進展を加速させることの重要性を示しています。
共同声明では、以下の取り組みを進めることを表明しました。
・コングレスで発表された科学的エビデンスと知見を広く共有すること。
・自らの活動にワンヘルス・アプローチを適用すること。
・効果的なワンヘルスの取り組みに対する資金提供と実施を提唱すること。
〈世界の指導者・政府などに対する行動喚起〉
共同声明では、各国政府、政府間機関、そして関連する国際会議などに対し、以下の行動を引き続き強く求めています。
・健康、持続可能性、公平性に関する国際条約で合意された目標を達成すること。
・ワンヘルスの視点に立って、ワンヘルス研究に資金を提供し、実行可能な政策を実施すること。
・人、動物、植物、生態系の健康を統合的に捉えることが、世界の健康安全保障、疾病予防、
そしてレジリエンス(強靭性)にとって不可欠であると正式に認めること。
さらに、ワンヘルスの理念を象徴的な認識にとどめるのではなく、国、地域、政府間の交渉にワンヘルスの原則を盛り込むよう求めています。 その上で、これらの原則を、以下のような具体的で公平かつ包摂的な制度へとつなげることを提唱しています。
・健康、健康安全保障、気候、動物、生態系、環境に関するあらゆる政策分野において、
具体的で公平かつ包摂的な法律・規制
・分野横断的な予算
・拘束力のあるコミットメント
今回の共同声明は、ワンヘルスを単なる理念として掲げるのではなく、科学的根拠に基づく政策、十分な資金、分野横断的な連携を通じて、実効性のある取り組みへと発展させる必要性を示すものとなりました。
【国際獣疫事務局(WOAH)事務局長、信頼と連携の重要性を強調】
国際獣疫事務局(WOAH)のエマニュエル・スベラン事務局長は、ワンヘルスの理念を実現するためには、信頼の構築、能力強化への投資、知識の共有、政治的リーダーシップ、そして継続的な実践へのコミットメントが必要だと強調しました。
次回、「第10回ワールド・ワンヘルス・コングレス」は、2028年10月10日から13日まで、オーストラリア・ブリスベンで開催されます。