
~ 国際協力とワンヘルス・アプローチの重要性 ~
2026年9月25日、第81回国連総会の期間中、「パンデミックの予防・備え・対応に関するハイレベル会合」が開催され、世界獣医師会(WVA)の藏内勇夫会長が出席しました。
本会合では、「公平性と連帯の原則に基づき、パンデミックや公衆衛生上の緊急事態の予防、備え、対応のための多国間・世代間アプローチを促進する」をテーマに、各国の代表らが、将来のパンデミックに備えるための国際的な取り組みについて議論しました。
会合では、新型コロナウイルス感染症の経験を踏まえ、感染症の監視や早期発見、迅速な対応の重要性に加え、パンデミックへの備えには保健医療分野にとどまらない、政府全体・社会全体での取り組みが必要であることが確認されました。一方、政治宣言案については会合当日に合意に至らず、その後も各国による検討が続けられました。 こうした経緯を経て、2026年10月12日、国連総会において「パンデミックの予防・備え・対応に関する政治宣言」が採択されました。同宣言では、将来のパンデミックから人々の健康と命を守るため、国や地域、国際社会が連携し、予防・備え・対応の能力を強化していくことの重要性が示されています。
パンデミック対策に求められる分野横断的な連携
今回の政治宣言では、パンデミックへの備えを包括的に捉え、保健医療だけでなく、開発や経済、安全保障など、さまざまな分野が連携して取り組む総合的なワンヘルス・アプローチの必要性が示されています。また、感染症の監視体制や早期警戒能力の強化、各国の対応能力を高めるための継続的な投資なども重要な課題として挙げられています。
パンデミックの予防を考えるうえでは、感染症が発生してから対応するだけでなく、その発生や拡大につながる要因にも目を向けることが重要です。特に、動物由来感染症などのリスクを把握するためには、人の健康に加え、動物の健康や環境の状態についても理解を深める必要があります。
人、動物、環境の健康のつながりを踏まえ、医療、獣医療、環境保全などの関係分野が情報を共有し、協力して感染症の監視や予防に取り組むことは、ワンヘルスの考え方にも通じるものです。こうした分野横断的な連携は、将来のパンデミックに備え、感染症のリスクを早期に把握し、適切な対応につなげるうえでも重要です。
国際協力を通じて、将来の健康を守る
パンデミックは国境を越えて広がる可能性があり、その予防や対応には、一国だけではなく国際社会全体で取り組むことが欠かせません。各国が感染症の脅威を早期に捉え、必要な情報を共有し、迅速かつ適切に対応できる体制を整えることが求められます。
今回の政治宣言の採択は、新型コロナウイルス感染症の経験を踏まえ、将来のパンデミックに備えるための国際的な取り組みを継続していく姿勢を示すものです。
人・動物・環境の健康のつながりを踏まえ、関係する分野や機関が協力して課題に取り組むことは、感染症の予防にとどまらず、社会全体の健康と安全を守ることにもつながります。今回の会合と政治宣言の採択を通じて、国際協力の強化と分野横断的な連携の重要性が改めて示されました。