
- WHO等が共同ニュースリリースを発表 -
私たちの健康は、人だけで成り立っているものではありません。
人の健康、動物の健康、環境の健全性は互いにつながっており、気候や自然環境の変化も私たちの健康に影響を与えます。
こうした、人・動物・環境の健康を一体として捉える考え方が「ワンヘルス」です。 2026年10月2日、世界保健機関(WHO)、国連食糧農業機関(FAO)、国連環境計画(UNEP)、国際獣疫事務局(WOAH)などとともに、エルニーニョ現象による影響が現実のものとなる中、太平洋地域における健康、環境、気候への脅威とワンヘルスについて、共同ニュースリリースを発表しました。
気候や環境の変化と健康のつながり
WHO等のニュースリリースでは、太平洋地域では、さまざまな健康上の脅威が複雑に関係していることが示されています。
デング熱、チクングニア熱、レプトスピラ症などの人獣共通感染症や媒介動物によって広がる感染症が、太平洋地域のいくつかの国や地域で発生しています。
こうした感染症の発生には、環境の変化、生息地の変化、気象パターンの変化などが関係しています。
さらに、エルニーニョ現象による干ばつや気温の上昇によって、下痢性疾患や栄養不良のリスクが高まっていることも指摘されています。
このように、気候や環境の変化は、単に気温や降水量が変わるという問題だけではありません。
感染症や食料、栄養などを通じて、人々の健康や暮らしにも関係しています。 そのため、健康への影響を考える際には、人の健康だけを見るのではなく、動物や環境、気候などとのつながりにも目を向けることが重要です。
太平洋地域で進むワンヘルス
WHO等のニュースリリースでは、太平洋地域の国や地域が、人、動物、植物、環境のつながりを踏まえた「ワンヘルス」の考え方を取り入れ、健康上の脅威を予防・発見し、対応するための取組を進めていることが紹介されています。
その一例として、2026年にフィジーで開催された第2回「Pacific One Health Workshop」では、太平洋地域の政府関係者や関係機関が参加し、人の健康、動物の健康、環境分野における経験や教訓を共有しました。
ワークショップでは、ワンヘルスの推進に向けて、感染症の監視やリスク評価、パンデミックへの備え、食品安全、薬剤耐性(AMR)、環境とのつながり、気候に関連する健康リスクなど、さまざまな課題が取り上げられました。
また、国や地域、国際的なレベルでの連携を強化するため、今後の連携に向けた課題や必要な取組についても議論されています。
「人・動物・環境」を一緒に考える
今回のニュースリリースで示されているのは、健康上の課題を一つの分野だけで捉えるのではなく、人、動物、環境のつながりを踏まえて考えることの重要性です。
例えば、感染症について考えるとき、人への感染だけを見るのではなく、動物や媒介動物、その生息環境、気候などとの関係にも目を向ける必要があります。
また、気候変動による健康への影響を考える場合にも、気温や降水量だけでなく、感染症、食料、栄養、生態系などへの影響を含めて考えることが大切です。
人・動物・環境の健康を切り離して考えるのではなく、それぞれのつながりを捉える。
それが、ワンヘルスの考え方です。
エルニーニョ現象による気候への影響や、感染症、食料・栄養などの健康上の課題が重なる太平洋地域の状況は、私たちの健康が人だけの問題ではないことを示しています。 世界で進められているワンヘルスの考え方に目を向けることは、私たちの暮らす地域の健康について考えるきっかけにもなります。
出典
世界保健機関(WHO)
「As El Nino threats become reality, One Health unites Pacific countries across sectors to address health, environmental and climate threats」
2026年10月2日